誘導業者の手口と対策

出会い系アプリには、素人の女性のふりをしてラインのIDやメールアドレスを男性に送って直接やり取りをして、最終的にダミーのプロフサイトなどに誘導しサクラ詐欺の出会い系サイトに登録させる悪質な誘導業者がいます。その手口と特徴、騙されないための見分け方について解説します。

出会い系アプリの誘導業者とは?

出会い系アプリの誘導業者とは、女性登録者・ユーザーになりすましてアプリ内で男性に対してLINEのIDやメールアドレスなどを送り、直接のやり取りを数回行った後に最終的にプロフサイトやサクラ出会い系に誘導し、登録させる悪質業者です。誘導業者は別名「メールアドレス収集業者」や「アドレス回収業者」とも呼ばれています。

出会い系アプリ内のメールで送ってくるのは、LINEのIDやメールアドレスであることが多いですが、ときにはサクラ出会い系のサイトアドレスや、LINE掲示板のアドレスである場合もあります。いずれにしても、誘導先のサイト・掲示板に登録させてサクラ詐欺によってポイント料金を騙し取るのが目的で、誘導役の女性とはもちろん、それ以外の女性とも出会えることは絶対ないです。

誘導業者はどんな出会い系アプリにいる?

誘導業者は、登録者数や利用ユーザー数が多い出会い系アプリには必ず潜んでいます。登録の必要がない無料アプリにはもちろんのこと、登録者の年齢確認をしっかりと行っている有料ポイント制の出会い系アプリにも数多くいます。

特に、素人の男性と女性が出会いやすいという評判が多い優良出会い系アプリには、数多くの誘導業者が一般の女性ユーザーに紛れて潜んでいることが多いです。具体的には、女性からいきなりLINEのIDが送られてきてラインをしたところプロフサイトに登録させられたという被害報告が多い、ハッピーメールYYC(ワイワイシー) などには今現在でも数多くの誘導業者がいます。

誘導業者の手口

誘導業者は主に以下の3つの方法のいずれかの手口で男性ユーザーを騙そうとするのが特徴です。

  1. 最初メールでいきなりLINEのIDを送ってくる
  2. ニックネームをLINEのIDにしている
  3. 何回かやり取りしてLINEやアドレスを教える

最初メールでいきなりLINEのIDを送ってくる

誘導業者が使う手口で最も多いのが、男性に対して最初に送るメールでいきなりLINEのIDやメールアドレスを送って直接やり取りをしようと誘う方法です。

出会い系では、いくら出会える確率が高いと評判のアプリでも、素人の女性と簡単にLINEのIDやメールアドレスを交換できることはあまりありません。そのため、男性は女性から送られてきた最初のメールに連絡先が書いてあると、飛びつくように直接ラインをしたり、直メを送ってしまいがちです。

誘導業者はまさにその男性特有の心理の隙を突いて巧妙に誘導しようとするのです。

ニックネームをLINEのIDにしている

最近では、誘導業者はより直接的なやり方でLINEのIDやメールアドレスを男性に知らせることがあります。それが、自分のニックネームをLINEのIDやアドレスに設定して男性にメールを送る手口です。

優良出会い系の公式アプリなど、出会い系として健全に運営されているでアプリにおいては、登録ユーザーは必ず年齢確認の手続きを行わなければいけません。年齢認証が済ませないとLINEのIDやメールアドレス、電話番号を含むメッセージのやり取りができない仕組みになっています。つまり、優良な出会い系では、誘導業者もきちんと年齢確認の手続きを済ませないと悪用できないということです。

ところが、ニックネームにLINEのIDやメールアドレスを設定してメールを送るやり方であれば、年齢認証をしなくてもメール受信者にLINEのIDやアドレスを教えることができてしまうのです。LINEのIDやアドレスをそのまま設定してもアプリ管理者によって発見、利用停止となる可能性が高いので、IDやアドレスの一部をひらがなやカタカナなどに置き換えたニックネームを設定し、監視の目を潜って男性にメールを送るのです。

何回かやり取りしてLINEやアドレスを教える

昨今の誘導業者は、最初メールではなく敢えて最初は普通の女性ユーザーのように当たり障りのないメールのやり取りを何回か行ってから、LINEのIDやアドレスを教える手口を使う場合もあります。

出会い系アプリを悪用する誘導業者は、これまでは漏れなく最初のメールからいきなりLINEのIDを送るという手口を使ってきましたが、アプリ運営者側も監視や排除の取り組みを強めており、以前のようにアプリユーザーをしづらくなってきています。LINEのIDやアドレスを含むメッセージを大量に送信しているユーザーを中心にシステム的に検知できるようにすることで、現在では半自動的に誘導業者を強制退会させることができる仕組みができあがっています。

その監視の目を盗みひっそりと誘導行為を行うための対抗策として、一般ユーザーのようにアプリ内メールを数回やり取りして、連絡先を教えるという手口を使うようになってきたのです。

誘導業者に騙されるとどんな被害に遭う?

誘導業者に釣られてLINEや直メでやり取りをすると、最終的には次のいずれかの被害に遭うことになります。ときには、両方の被害に遭うケースすらあります。

  1. サクラ詐欺の出会い系に登録させられる
  2. サクラ出会い系の迷惑メールが送られてくる

サクラ詐欺の出会い系に登録させられる

誘導業者に騙されて生じ得る被害で最も多いのは、サクラ詐欺の悪徳出会い系に登録させられてしまうことです。そして、知らぬ間に自動後払いなどが適用されて後々高額なポイント料金を請求され、場合によっては脅し取られるという被害に遭う危険性があります。

誘導先のサイトが、はっきりと出会い系サイトであることが分かれば、登録させられそうになったとしても警戒心が働きそこでやり取りをストップすることができますが、誘導業者は巧妙な手を使います。ほとんどの場合、誘導先のサイトは、出会い系サイトとは気づかれにくいダミーの「プロフサイト」や「LINE掲示板」、「SNS」のよく作りこまれた個人ページなどです。

誘導先の“個人ページ”には、「この人にメールを送る」などと書いてあるボタンが設置されていて、メールを送ると、サクラ詐欺の悪徳出会い系に登録されてしまうという仕組みになっているのです。

誘導業者に騙される人のほとんどは、自分が出会い系サイトに登録したことに気づきません。後々、身に覚えのない高額なポイント料金を請求されて初めて自分が悪徳サイトに登録させられたことに気づきます。

サクラ出会い系の迷惑メールが送られてくる

サクラ詐欺の出会い系に登録させられなかったとしても、誘導業者に教えられたLINEのIDやアドレスに一回でもラインや直メを送ってしまうと、その宛先にサクラ出会い系の広告メールが送られてくる危険性があります。

誘導業者の第一の目的は、サクラ出会い系サイトに登録させてサクラとメールのやり取りをさせ高額なポイント代を不正請求によって騙し取ることですが、登録させることができなくても出会い系アプリ利用者のLINEのIDやメールアドレス、電話番号を入手できるだけでもいいのです。出会い系アプリ利用者の連絡先をゲットできれば、迷惑メールの送信先として悪用できるからです。

LINEのIDやメールアドレスが誘導業者に知られてしまったとしても、ブロックしたりアドレスを変えれば迷惑メールの受信被害を避けることは比較的簡単にできますが、厄介なのは電話番号を知られた場合です。携帯の電話番号はアドレスほど気軽に変えられない人が多いので、定期的に架空請求のSMSが送られてきたり、詐欺の電話がかかってくる被害に遭うことになります。

誘導業者に騙されないための見分け方、対策方法

出会い系アプリを使っている限り、誘導業者に遭遇する確率をゼロにすることは難しいです。

優良出会い系の公式アプリを中心に誘導業者対策が進んでいることもあって、以前に比べると誘導業者に騙される危険性は大幅に減ってはいますが、一般ユーザーのように何回もアプリ内でやり取りをするなどして、誘導業者もバレないように手口を巧妙化させているためです。

そのような悪徳誘導業者に騙されないためには、あまりにも簡単に連絡先の交換ができる女性は業者の可能性があると疑い、慎重に見分けるよう心がけることが大切です。

また、アプリ内メールで何回かやり取りをした上でLINEやアドレスを交換することになった場合も、それまでの会話の中身が簡単・単純なメール内容でないかをチェックすることで業者か素人かを見分けることもできます。

普通の出会える女性が真っ当な内容のメールのやり取りをすることが多いのに対して、誘導業者の場合はそこまで丁寧なメールのやり取りをしないことが多いです。一人一人と細かいメールのやり取りをしても騙しの効率が悪く、手間もかかるためです。

出会い系アプリで連絡先を交換する際には、これらの点に注意を払うことで悪質な誘導業者に騙される被害を防ぐことができます。